日本経済にはGDPの約7%、35兆円にのぼる大きなGDPギャップ(総需要と総供給の落差)がある。このようなGDPギャップがあると、経済は高い失業率とデフレに悩まされることになる。
GDPギャップと失業率の関係は、オーカンの法則(Okun’s Law)として知られている。日本の場合、35兆円のGDPギャップは失業率を2~3%程度、失業者を130万~200万人程度増やしている。
デフレは「モノの値段が下がる」と喜ぶ人がいるが、自分の給料が横ばいか昇給すると思っているからだ。しかしデフレになると、確かにモノの値段が下がるのだが、多くのモノの値段が下がれば多くの人の給料も下がることになる。デフレがいいとの話は「相対価格」と「一般価格水準」を混同しているのだ。
デフレとは「一般物価水準」の低下であり、01年の経済財政白書が言うとおり経済に悪影響を及ぼす。失業を減らしデフレから脱却するために一刻も早くGDPギャップをなくすような政府・日銀によるマクロ経済政策(財政・金融政策)が必要だ。
今般の経済危機で生じたGDPギャップを財政・金融政策で各国がどう埋めようと対応してきたかを試算してみた
例えば米国はリーマン危機後、GDPギャップが10%を超えていたが、まずGDPの5%程度の財政出動によって09年でギャップが5%程度に縮まって日本より改善した。さらに中央銀行にあたる連邦準備理事会(FRB)が「信用緩和策」――民間の社債、CPなどをFRBが買い取るなど、日銀が01年3月から06年6月まで続けた量的緩和をさらに強化した非伝統的な金融政策に踏み切った。これによりGDPギャップは将来にわたって8%程度改善する効果がある。したがって米国の財政・金融政策は、大きなGDPギャップを完全に穴埋めできるような規模で行われたといえる。欧州諸国も同様に、財政政策と金融政策の両輪で金融危機がもたらしたGDPギャップをほぼ埋めるように行われている。
日本はどうか。麻生自民党政権の時代に、国際的には「財政支出はGDP2%程度だ」と言って補正予算を通じ14兆円の景気対策を行った。しかし金融政策は実質的にはほとんど出動しなかった。その結果、今でもGDPギャップは世界最悪の大きな開きをみせている。金融政策がほとんど行われていないのが日本の特徴である。それは、各国中央銀行のバランスシートの拡大ぶりをみても、日本だけ見劣りしていることでわかる。仮に今回の第2次補正を加えても財政政策ではGDP1%程度であり、まだまだGDPギャップを埋めるには至らない。
デフレ脱却のためには、GDPギャップを埋めればよく、長期国債買い入れで量的緩和を30兆円以上、または同じことだが財政法第5条但し書きに基づく日銀引き受け30兆円を行えばいい。